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梅花の茶園
HP(梅花の園にてティータイム)の更新日記や、BL・JUNE作品・ライトノベルズ等の感想や日々の徒然を思いつくまま書いております。
『さよならヘヴン』 榊花月
さよならヘヴン榊花月 / 紺野キタ
幻冬舎 ルチル文庫
533円 (ISBN4-344-80765-0)
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【あらすじ】
 18歳の笹尾実景が学校にも行かず、ひきこもりになったのは中学
のころのいじめが原因だった。ある日、実景が心の拠り所にしているアーティストが好きということで、姉に同僚の藍川修一を紹介される。藍川は端正な顔立ちに似合わず、穏やかな男だった。藍川といる時間が楽しい……そう思い始めた実景は、やがて藍川に恋をしているのだと気づき――。

【感想】
オススメ!
 実景は中学一年の時に同級生からのいじめにより母と姉の家族以外の「外」の人間を信用することができなくなり以来5年間、月一回のクリニックへの受診日を除き家から出ない生活をしていた。そんな生活を送る実景の心の支えは「エデン」と言う、アーティストの作る曲。エデンの曲をヘッドフォンで聴きながら部屋で本を読むだけの日々。そんな実景の前にある日、酔い潰れた姉を連れて帰ってきてくれた、姉の会社の上司の藍川が「エデン」のファンだと知り…今まで「外」の人間に興味を抱く事のなかった実景だが、何故か藍川に対しては「外」という警戒心が沸かなくて――。

 「いじめ」と「ひきこもり」という重い設定でしたが、実景が少しづつ「外」の世界へと一歩ずつ踏み出していく心の変化がとても繊細に描かれていて一気に読めてしまった感があります。彼が何故、人を信じる事ができなくなったのか、そして今どういう状況なのかと言う所から、少しづつ変化していく気持ちが丁寧に表現されていたと思います。
 最後は希望を持てる終わり方で、ホンワリと暖かい気持ちになれました。
 もちろん、実景にはこれからもまだまだ乗り越えないといけない壁がたくさん待っているのだと思うのですが、藍川や家族に支えられて一歩ずつ進んでいくんだろうなぁ…と、思わずそんな風に頑張る実景も読みたくなってしまいました。

評価【★★★★★★☆】
『くちびるに愛の歌』 李丘那岐
くちびるに愛の歌李丘那岐 / 亀井高秀
幻冬舎 ルチル文庫
533円 (ISBN4-344-80763-4)
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【あらすじ】
 伯父に引き取られた田辺広明は、3つ年下の瀧頭翔一郎を義弟として可愛がっていた。しかし翔一郎は、広明を独占しようとし、無理やり体の関係を結ぶ。いけないと思いながらも拒むことができず関係は続き、伯母にばれたことをきっかけに、広明はニューヨークに逃げてきた。それから3年――広明のもとに翔一郎が現れる。動揺する広明は……!?

【感想】
オススメ!
 広明は生まれた時から父を知らず、母は男性が出来る度に広明を姉夫婦に預けて家出をしてしまい、男と別れるとまた戻ってくる…そして小5の時に遂に家を出たまま帰ってこなかった為、その後は伯父夫婦の元に引き取られてその家の子供達と共に育てられた生い立つ中で、自分を引き取って不自由なく育ててくれた伯父夫婦に感謝の気持ちを持ち、迷惑をかけないように家では良い子、良い兄として、外では良い生徒として“優等生”でいようとする余り、本来の“自分”というものよりも、いつの間にか“優等生”の型にはめた自身が本当の自分になっていると思っていた…しかし、そんな広明に対して三歳年下の義弟の翔一郎だけは成長するにつれ何かと干渉し、事ある毎に広明から“優等生”という型からはみ出させようとしてきて…。
 翔一郎の意図する所がわからないままの広明に対してある日突然、押し倒してきて!?
 兄として毅然とした態度で拒否しなければならないのに、それが出来ないまま、現場を伯母に見られ投げつけられた言葉を切っ掛けに逃げる様にNYに留学して三年が経ち生活にも慣れ穏やかな生活を送る広明の前に翔一郎が現れて――。

 李丘那岐さんの作品は初めて読みましたが、思いの外しっとりと、味のある作品を描かれる作家さんだなぁ…という印象を受けました。
 広明の生い立ちからくる自身を必要以上に型にはめてしまう性格や、そんな広明を無条件に求めてしまう翔一郎の若さ故の焦燥など個々の内面をとてもしっかりとでもしっとりと落ち着いた雰囲気で表現されていて説得力がありました。
 またお互いに気持ちのすれ違いがあっても、一人一人が一生懸命に生きてきた…という感じで、全体的に温かい感じの作品で読んでる間は切なく感じても、読後感は優しい雰囲気になれる作品でした。
 場所がNYと東京と離れてしまっても、お互いを思う気持ちは何処かで繋がっているんだ…とそう信じたくなるようなお話だったと思います。
 
評価【★★★★★★☆】
『ボディーガードは愛を継ぐ』 高月まつり
ボディーガードは愛を継ぐ高月まつり / 蔵王大志
角川書店 ルビー文庫
514円 (ISBN4-04-451202-7)
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【あらすじ】
 超有名ボディーガード会社<ガーディアン・ローブ>に所属する高中狭霧はワンコ気質の腕利きガード。死の床にある元の主人から、弱冠二十歳の財閥の後継者・朝比奈隠香を新しい主人として託される。顔合わせでいきなり「生涯俺だけを守れ」と告げてきた暴走気味の隠香に反発しながらもガードする狭霧だったが、「俺はお前を残して死んだりしないから」と真剣に愛を告げられ胸がキュンとしたところを、押し倒され自らねだるほどの快楽を与えられるが……!?
 爆笑★ラブバトル!

【感想】
オススメ!
 高中狭霧は一度と保護欲を刺激されると“守ってあげたい”“相手の為に何かしてあげたい”と相手を第一に考えてしまう「ワンコ」な性格。そんな狭霧が初めて“専属ボディーガード”となった大企業の社長・朝比奈春登から次の主人として、彼の甥で後継者でもある朝比奈穏香を指名されたが、主人に忠実すぎる程の忠誠心から新たな主人を受け入れる気持ちになれない…。しかし、そんな狭霧に対して穏香は「好きだ!」と愛の告白をしてきて!? しかも若くして大企業のトップとして立たなければならなくなった穏香に対して狭霧の「ワンコ回路」が発動してしまい――!?

 高月まつりさんのボディーガード・シリーズ第二弾。
 前作『ボディーガードは口説かれる』で良き先輩として何かと智弘をフォローしてくれていた狭霧先輩のお話でした。
 今回は狭霧の胸中での一人ツッコミが主でしたが、相変わらずテンポのよい会話は爽快で一人で大笑いさせて貰えました。
 ワンコ回路を持つ狭霧もナイスなキャラですが、そんな彼に熱烈アプローチする穏香もMIT出で趣味でロボットを作れる位の頭脳を持つと言うとてつもない設定で…いい味を出していたと思い、また狭霧の勤める<ガーディアン・ローブ>と言うボディーガード会社も普通では考えられない会社なら、穏香が率いる朝比奈グループの本社もとてつもなく非現実な感じで、全体的に非常識さ全開でしたが、ソレもコレもこの作品ならアリ!と思わせる所がまた凄い、とにかく面白くて、細かなツッコミは霞んで気にならなくなってしまえる。高月さんのコメディは面白い~~~と久々に実感した作品です。
 このシリーズ、現在は二作までみたいですが、是非とも他のボディーガード達の活躍も読んでみたいです♪

評価【★★★★★★☆】
『慰安旅行に連れてって!~許可証をください!2~』 烏城あきら
慰安旅行に連れてって!~許可証をください!2~烏城あきら / 文月あつよ
二見書房 シャレード文庫
571円 (ISBN4-576-04082-0)
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【あらすじ】
僕は君のために喜美津に呼ばれたんだ。
その責任は絶対取ってもらうからな。

 喜美津化学五年に一度のビックイベント、慰安旅行の幹事を任されただが、工場排水の水質悪化というアクシデントに見舞われ、その対応で寝る間もないほどの忙しさに追われることに、さらには将来のために大学の通信課程を受けるよう前原を説得して欲しいと、会社から頼まれごとまでされてしまう。しかし、前原が漏らしたとある一言がきっかけで、弘は「君とはもう寝ない」と宣言し、絶縁状態に!?
 地方の化学薬品工場を舞台に、四大卒のホープ、品証の弘と製造部の若頭、前原が繰り広げる、濃密&おとぼけワーキングデイズ。
 ボリュームたっぷりの書き下ろしつき、好評シリーズ第二弾!

【感想】
オススメ!
 喜美津化学の品証部の阿久津弘は窮地に立っていた。この半月で工場から排出される工業排水が国が定める基準をオーバーしてしまった為だ。市役所の環境保全課の担当者からは一ヶ月後の再検査までに改善が見られなければ、操業停止という最悪の事態もあり得る工場にとっては大問題の事態となりかねない。にも関わらず原因の究明はなかなか進まず…。
 しかも一ヶ月後には、五年に一度の喜美津化学の慰安旅行の時期とも重なり、その幹事を引き受けた弘だったが、万が一、排水の基準が改善されず操業停止となれば慰安旅行どころではなくて…正直な所は排水の事だけで手一杯。
 更に一杯一杯の弘に工場長から、前原に大卒資格を取らせるための通信教育を受けるように説得して欲しいと言う依頼まできて――。

 一巻に引き続いてとても楽しく読めました!
 工場の事を一生懸命考え仕事にプライドを持って邁進する弘や前原達の姿はもう格好いいと言う言葉だけでは言い表せない大人の男としての魅力があると思います。
 今回は弘の男としてのプライドが前原の何気ない一言で傷つけられてしまし、そこから二人の間だにギクシャクした雰囲気が生まれてしまいますが、それを二人が同じく仕事に対する熱い思いを共有する事によって、そういったわだかまりも次第に解かれていく、そう言った過程がとても読み応えがありました。

 今回の私の笑いの一番のツボは何と言っても「馬糞ウニのサンコンさん」でしょう!後々まで笑わせて貰いました(爆笑)。

評価【★★★★★★☆】
『運命の鍵開けます』 いおかいつき
運命の鍵開けますいおかいつき / あじみね朔生
雄飛 アイノベルズ
850円 (ISBN4-902543-56-7)
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【あらすじ】
 性癖を隠しながらも、ゲイバーに出入りしていた警視庁のキャリアの九条義臣は、ある男にその現場を見られ、関係を強要されてします。
 「一回男としてみたかったんだ」
 そう嘯く彼は――高校の同級生で、憧れていた男――日向新。そして、九条が担当する殺人事件の第一発見者であり、容疑者でもあった。
 敵か味方かもわからぬまま、しかし昔と変わらない新の魅力に抗い切れない義臣だったが……。

【感想】
オススメ!
 官僚一家に生まれ、流されるままに警察官僚になった九条義臣だが、いざ警察に入ってみて初めて後悔したのは現場に出た時だった…。頭脳派の九条にとって“現場”は想像以上にきつく、しかもキャリアで28歳で課長の九条と、遙かに年上でありながらノンキャリアの部下達との壁もあり…職場では舐められない様に虚勢を張り表情を消し内面を知られないようにしながら、早く本庁に戻れる日を待ち望んでいる日々。そんな九条が唯一、素を出せるのはゲイである自らと同じ性癖を持つ人達の集まるゲイバーだけ。そんな九条が事件で再会したのは高校三年生の時の同級生の日向新だった…。彼は鍵師として殺人現場の第一発見者となっていて――。

 同人誌の時から好きな作品です。
 鍵師×警察エリートというのも何というかツボでございました。格好いいですよね、鍵師って…困った時にサッと鍵を開けて貰えると多分普通より三割は増しで格好いいですよ(笑)。
 今回はそんな鍵師として日々、街中の困ったに対応している日向と、刑事課課長ではあれども、部下達から何処かお客様対応しかされていない九条とのお話でしたが、九条のストイックな雰囲気と日向の少し砕けた感じは…あぁ、アレですよ、某刑事ドラマに立ち位置が似てる感じでいいです(あのドラマ大好きなんですよね~)、ストーリーも事件の謎と共に進んでいくので読み応えもありました。

評価【★★★★★★☆】
『許可証をください!』 烏城あきら
許可証をください!烏城あきら / 文月あつよ
二見書房 シャレード文庫
571円 (ISBN4-576-03200-3)
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【あらすじ】
これから喜美津で働いていく俺とお前が、なんで寝ちゃいけないんだ。
 中小化学薬品製造業・喜美津化学の品証部に勤務する阿久津弘は初の四大理系卒のホープとして期待されている身。そんな弘が社命でフォークリフトの免許を取ることに。慣れない乗り物の操作に難儀する中、指導係として遣わされてきたのは製造部の若頭・前原健一郎。弘と同い年であるにもかかわらず同僚からの信頼も厚く、独特の迫力と風格を持ったこの男に、弘はとある出来事がきっかけで苦手意識を持っていたのだが、意外にも前原の方は――。
 それなりに平和な工場ライフを送っていた弘を襲う前代未聞の“男×男”関係、ガテン系濃密ラブ!

【感想】
オススメ!
 あらすじがしっかりと紹介されているので今回は自作あらすじは無しで。

 この作品、雑誌掲載時に表題作を読んでいたんですが、あまり印象に残らず、イラストが好みじゃなかったので今まで食わず嫌いをしていたんですが、先日読んだ烏城さんの作品が思っていた以上に面白かったので購入。
 えぇと、まず読み始めて直ぐに思ったのは「面白いじゃないか!何で今まで読んでいなかったんだよ!!」でした(苦笑)。
 表題作も勿論面白いのですが、寧ろそちらはプロローグという感じで、続編の『クレーム受けます!』で二人の距離がさらにグンと近くなっていく様子や、彼らの仕事に対する熱い思いなどが感じられてグイグイと作品に引き込まれていく感じでした。
 今回は前原の想いに弘が流されてしまった感がありますが、そこら辺は続きでどうなるのか今から楽しみです。

評価【★★★★★★☆】
『ブリリアント』 火崎勇
ブリリアント火崎勇 / 麻々原絵里衣
徳間書店 Chara文庫
533円 (ISBN4-19-900402-5)

【あらすじ】
 古めかしい日本画壇で、才能もビジュアルも突出した新進画家同士――目を惹く長身で力強い筆致の飾沢と、繊細な容貌とそれに見合う作風の紺野。二人は自他共に認めるライバルで大親友だった。ところが紺野が、理由も告げずに筆を折ると宣言!
 その上なぜか飾沢を避け始めた!?
 この関係は永遠だと思っていたのに――。衝撃を受けた飾沢は、ある夜紺野に衝動的にキスしてしまい!?

【感想】
オススメ!
『ブリリアント』
 体力を付けても、生白い身体が嫌いな紺野は自らの精密なタッチの絵を「ちまちまとした絵」としか評価できずにいた。
 そんな彼の前に、こうなりたいと望むような恵まれた体格の男と出会い、彼の描く色と光の溢れる絵に魅了されるが、そんな紺野に飾沢は「お前も俺をバカにしてるのか」と睨み付けて来て…。飾沢は実家が資産家ゆえに、絵に対して正当な評価を受けられずにいたのだ。
 相手に自分の持っていない物を見出し、お互いのよき理解者であり、ライバルでもあった二人だったが、紺野の身に思いがけない事実が降りかかった事により、そのバランスが崩れて――。
 
 紺野の視点から話が進んでいったので、彼の飾沢や筆を折らなくてはならなくなった絵への思いが、とても切なく胸に迫ってきました。
 また、絵への思いに絡めて、飾沢と出会ってからの彼との思い出が、いかに紺野にとって大切なものか…どれ程の思いで彼がそれらを諦めるのか……紺野の絶望がひしひしと伝わってきて、そんな中でも自らを見失わずしっかりと立ち上がろうとする様は、もう“格好いい”では表せません。

『グレイス』
 一度は諦めた飾沢と晴れて想いが通じ合い、彼の求めに応じて一緒に暮らす事になった紺野。絵は諦めざるを得ないけれど、代わりに飾沢を得られたならば…と前向きに思っていた。しかし、一緒に暮らしていると言っても、飾沢は毎日の様に用事で出掛け忙しく、新しい絵を描いている様子だが紺野には「仕上がるまで見せない」と言われ…。
 更には、飾沢の婚約者と名乗る女性までもが現れて――。 
 何を失っても飾沢さえ得られるならば、失った物も惜しくはない、そう思えていた紺野も相手の心が見えなくなると、迷い心弱くなってしまう――。

 人の心の弱さと強さが上手く表現されていたと思います。
 この作品は、登場人物の心の在り方が清々しいまでに表れていて、読後感が爽快な気持ちになれました。
 『ブリリアント』が最後に“愛”を持ってきたなら、『グレイス』は“希望”があったように思います。
 今回は一山を越した二人だけれど、共に生活をしていく上では、これからも色々とハードルが出てくるんだろうなぁ…と思いますが、それらに怯むことなく立ち向かって行ってくれるだろうと言う気持ちにもなれます。
 後書きで少し、その後の事も書かれていましたが、是非とも読んでみたい!と思いました。

評価【★★★★★★☆】
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