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梅花の茶園
HP(梅花の園にてティータイム)の更新日記や、BL・JUNE作品・ライトノベルズ等の感想や日々の徒然を思いつくまま書いております。
『家賃』 月村奎
家賃月村奎 / 松本花
新書館 Dear+文庫
560円 (ISBN4-403-52124-X)

【あらすじ】
 中学教師のの部屋に突然、勤務先の学校を卒業した人気アイドルの望月和哉が転がり込んできた。担任でもなかった男の所へ何故かそのまま居着く和哉。態度だけはデカく「家賃ならカラダで払う」が口癖だが、芸能事務所をやめて親からも見放された少年を、遼は追い出したりもできなかった。けれどある時、今までの家賃だと言って、和哉が大金を持って帰ってきたことから……?
 やさしいプライベート・レッスン!!

【感想】
『家賃』
 24歳の里谷遼は中学校教師となって二年目、おおらかで親しみやすいと生徒からも少しナメられがちながらも慕われている。今日も男子生徒から用具を壊してしまったが何とかしてくれと甘えてこられた所だ。そんな遼の中学校での本日の話題は卒業生でアイドルグループ「ピース」のメンバー・望月和哉のスキャンダル。
 15歳なのにもかかわらず、夜の街でくわえ煙草の写真を週刊誌にスクープされてしまったというスキャンダルで一日持ちきりだ。遼は和哉の担任でもなく、あまり接点はなかったものの以前一度、彼の目に口づけした事があり…。
 彼は今後どうしていくんだろう、と思いながら帰宅しようとしたら和哉が突然現れて、しかも過去の出来事をタテにそのまま遼の家に居着いてしまい…その上、家の事は全くせず毎日ダラダラと過ごす和哉にアイドルをクビになり行くアテもない、遼は今後の事を訪ねるが和哉からは何の見通しもなく――。

 親が幼くして離婚して、他人よりも距離があり新たな過程もある父親と、和哉が中学生の時に恋人と事故死した母親。愛情に飢えた少年は、その飢えを満たすためにアイドルになってみたもののアイドルで得られるファンからの愛は刹那的で…虚しさを感じ遼の所へと転がり込んできた和哉。
 遼の視点から、15歳という年齢には不相応な厭世的な心を持った少年を見捨てられなくて、和哉の孤独感に心を痛め寄り添ってゆく遼の心が表現されていて、彼らの心の距離がだんだんと近づいてゆく様子が見事に描かれていたと思います。
 久々に月村さんの作品の醍醐味を味わえた気分です。
『家賃+α』
 「家賃」その後。
 晴れて付き合いだした二人。和哉も高校進学と言う当面の進路を決めて、週末には二人で遼のアパートで過ごす一時。ふとしたきっかけで二人の誕生日が同じ日なのを知り、興奮する和哉に遼の応対はそっけないもので――。

 何気ない日常が和哉視点で描かれていましたが、前作で拗ねて厭世感が溢れていた和哉の年相応の少年らしい一面が見れて楽しかったです。

評価【★★★★★☆☆】
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『いけすかない』 榊花月
いけすかない榊花月 / 志水ゆき
新書館 Dear+文庫
560円 (ISBN4-403-52095-2)

【あらすじ】
 女にも男にも不自由したことがない傲慢で超俺様な遊び人・衛藤国春。二十一歳にして初めて“相手からふられる”という経験をさせられ苛々していた彼が、なりゆきから小生意気でキレイな“子猫ちゃん”を拾うハメに。自分の思い通りにならないそいつと暮らすうち、今まで誰にも抱いたことのない優しい気持ちが芽生えてきたりして……もしかしてホレちゃったのか?
 こんなの俺じゃないだろ!? 書き下ろし続篇も収録!

【感想】
『いけすかない』
 「ふれていたい」で出てきた夕雨の元カレの衛藤のお話。
 夕雨にふられて落ち込み気味の衛藤はカフェレストランで理不尽な理由でウェイターの青年・彗の足を引っかけて難癖をつける。まるきりの衛藤の八つ当たりの結果、住み込みの仕事をクビになった彗が衛藤が落とした免許証を持って彼の家に転がり込んできたのは予想外で…出ていけと言っても出ていこうとしない彗を押し倒そうとすると突然、暴れ出して「やめて、お兄ちゃん」とい叫びだして…さすがのロクデナシな衛藤もトラウマ持ちを無理矢理するのは面倒、とその場は引き…いつもならトラウマがあるにせよ、そのまま押し倒してやる事やって追い出してるハズなのに…それから二人の生活が始まるが――。

 「ふれていたい」でさんざんロクデナシっぷりを披露してくれた衛藤視点のお話で、夕雨を失って、今まで楽しいと思っていた遊びが楽しいと感じられなくなった彼が彗と一緒に暮らし始めて、だんだんと彗に惹かれている様子が丁寧に描かれていてよかったです。
『想うということ』
 「いけすかない」のその後。
 衛藤と両思いになり、付き合いだした彗だがSEXは兄とのトラウマのせいで、まだ勇気が出ない。そんな彗の事を大切に想いキスだけで我慢してくれる衛藤に申し訳ない気持ちと共に愛しさは募ってゆくが――。

 今回は彗視点でのお話でしたが正直、衛藤が良い人すぎて「アンタ誰や!」と思わなくもなかったですが…愛は偉大だって事ですかね…彗フィルターだったのか?(苦笑)
 今作では両親から愛された記憶がなくて、自分に自信のない彗の葛藤やそんな彗を衛藤が支える所など、なかなかに読み応えのある作品で楽しませて頂きました。

評価【★★★★☆☆☆】
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