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梅花の茶園
HP(梅花の園にてティータイム)の更新日記や、BL・JUNE作品・ライトノベルズ等の感想や日々の徒然を思いつくまま書いております。
『純情アイランド』 砂原糖子
純情アイランド砂原糖子 / 夏目イサク
新書館 Dear+文庫
620円 (ISBN4-403-52139-8)

【あらすじ】
 崎浜港平(20)には悩みがあった。島の生き神様同然の幼馴染み比名瀬に好かれて以来、生まれ育った比名島を出られない。比名瀬から逃げ回ること11年、その風景は日常と化していた。そんなある日、比名瀬がアパートの隣室に越してくる。生活能力ゼロの比名瀬をなぜか放っておけない崎浜。だが仕方なく世話を焼くうち、一途に自分を慕う比名瀬を可愛く思い始め……!? 大量書き下ろし続編も収録、島ものBL決定版!!

【感想】
『純情アイランド』
 比名島、日本海に浮かぶ大きくはないが小さくもない島でで本州から渡船で30分程の距離にある。全国的に知られた島ではないが一つだけ余所にはない物がある。それは“大学”。
 そこに通う崎浜港平と比名瀬稜は共に比名島の出身。ただし、崎浜が六人兄弟で家族八人で六畳二間プラス四畳半の家で生活する貧しい家の出身に対して、比名瀬家は絵に書いた様な資産家。島の名はかつては島全てが比名瀬家の持ち物だった証、更にその昔神話の時代にはご先祖が災厄から島を救ったと言う伝承まであり、島民の比名瀬家に対する意識はまるで神か仏の様で…そんな比名瀬家の一人息子である比名瀬に小三の時に気に入られて以来十一年、崎浜は島から一歩も出られない…何故か崎浜が島から出ようとすれば空はにわかに曇り、雷鳴と豪雨が降り、船は転覆寸前に…!?そんな有り得ない非常識が本当にあるのだ――。

 雑誌掲載時にも楽しく読ませて貰ったのですが、久々に読み返して、笑いが止まりませんでした。主にニヤニヤした笑いなんですが(不気味;)
 いや、もう比名瀬のお坊ちゃまぶりがいいです!学業は軒並み“優”なのに日常生活に関する事は何一つダメ、だけど本人に自覚ナシ。とか、崎浜にベタ惚れで道を歩く時も前を見ずに崎浜の顔だけを見て歩くからすぐに転びかける所等々、数えだしたらキリがないチャーム(?)ポイントの数々で笑いが絶えません。
 何より比名瀬の天然ぶりが徹底していて、いっそ清々しいのです。
 一方、崎浜は根っからの庶民&常識人を自負しているだけあって、色々と無駄な抵抗をしてます。ハタから見てれば「何だかんだ言っても…」と一目で解るのに、必死で認めようとしない様はいっそ見事。と言うか、バカ(笑)
 この二人の様に最初から最後まで、笑いが止まらない一作です。有り得ないけどあったら面白いと思わせるコメディでございました。

『純情クリスマス』
 前作で、やっと自身の気持ちを受け入れた崎浜、しかしいざ“好きだ”と思うようになると意識しすぎて逆につれない態度や、やせ我慢をしてしまい…そんな崎浜に一喜一憂する比名瀬。そして両思いになれても相変わらず島から出られない崎浜。これでは比名瀬と街にデートにも行けない!と思っていた所に聞き込んだのが、今まで神頼みに通っていた島の神社は50年程前に移されたもので本当の神社は山の中にあるという新事実!
 早速、神頼みに向かった崎浜にお約束の様に付いてきた比名瀬だが、そこで思わぬアクシデントにより、何と記憶喪失になってしまって!? しかも主に忘れたのは「崎浜に関する事」のみで…そんな状態の比名瀬に苛立つ崎浜だが――。

 比名瀬稜の頭の中の80%はは崎浜で出来ています、よって崎浜の事を忘れたら頭の80%は穴ぼこ状態になります…。
 しかも比名瀬稜は子供はコウノトリが運んでくると思っています。「違う」と訂正すれば「キャベツからも生まれる」と反論します。…そんな20歳(爆笑)
 比名瀬のカッ飛び具合がグレードアップしていて、笑えました。
 作中、崎浜が「比名瀬はアホだ、おとぎの国育ちの男だ」と言ってるのにニヤリとしてしましました。
 比名瀬の崎浜に対する一途さが徹底していて読んでいて気持ちよいです。
 崎浜が相も変わらず照れ屋で「好き」の一言すら満足に言えない様子も読みながらジリジリしますが、それも微笑ましいです。
 もう、最初から最後まで笑いで満たされる一作でした。たまにはこういう作品も良いですね。

評価【★★★★★☆☆】
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『リンゴが落ちても恋は始まらない』 松前侑里
リンゴが落ちても恋は始まらない松前侑里 / 麻々原絵里衣
新書館 Dear+文庫
560円 (ISBN4-403-52130-4)

【あらすじ】
 が恋人との旅行から帰ってくると、部屋にはなぜか他人が住んでいた。見覚えがある男は、同僚の野宮暁人。忍が男と不倫していることを知った父が、忍からマンションを取り上げ、彼に貸してしまったのだ。不倫相手と別れ、女性の恋人を作れば部屋は返してくれるという。それまで行き場がない忍は暁人の厚意で同居させてもらうことになるが、元から苦手だった暁人と何かにつけぶつかりあい……? 全編書き下ろし!

【感想】
 十歳の時に十歳年上の兄が「自分は他にやることがあるから跡は継げない」と家を出てしまい、父が兄を勘当して以来、教育大学付属高校の学長の父の跡を継ぐ事は忍の義務となった。本当は自分だとて絵を描く事が好きだったけれども、親に反発する事は十三歳の時にある一言を聞いて止めた。それからは親の言う通りの進路を歩き、現在はいずれ継ぐであろう高校で英語の教師をしている。
 本心を悟られぬ様、伊達眼鏡で心にフィルターをかけて同僚からは若先生と呼ばれ…しかし、そんな反動からか付き合う相手は何時も既婚者の年上の男性で――。

 子供の頃に親に甘えられなかったからか、自分を押し込めて生きてきたからか、忍は内面が酷く混乱していて自分でもどうしたいのか解らなくなっている…それに対して暁人は理科系の質か何事もスッパリと竹を割った様に考え、しかも情緒に欠ける人柄で…思考回路が正反対な二人が共に暮らし、だんだんと相手に惹かれていく様子は読み応えがありました。
 お互いの事になると鈍感になると言うのはありがちと言えばそうなんですが、そこがプッと笑える感じです。
 同僚で暁人の友人の生物の星野亮平と化学の川嶋実のカップル(そう!この二人もゲイなのです!!)も要所要所でいい味出してくれて楽しかったです。特に亮平の鳥オタクぶりは面白い!この二人の話も読んでみたいと思いました。

評価【★★★★★☆☆】
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